手づくりの暖かさ感じる陳列でグランプリを獲得
対前年比85%増と大きく伸長
2025年1月1日から2月28日までの期間に開催された「がんばれ受験生!受カレー!ディスプレイコンテスト 大陳コース」で見事、グランプリを獲得したのは「A・コープファーマーズおおまち店」(長野県大町市)である。売場づくりを行った畜産部門の倉嶋啓太主任は、「やるからには賞をいただきたいと取り組んだので、大変光栄です」と喜びを表現する。
ディスプレイを実施したのは主通路沿いに設置されている大型の冷蔵平台。多くの来店客が通る目立つ場所で、丸大食品の「ビストロ倶楽部」や「シェフの匠」シリーズをボリューム良く積み上げた。
倉嶋主任は、同店のパートタイマーの方や丸大食品北信越営業部長野営業所の南澤裕美さんらの協力を得ながら、営業時間中にディスプレイを完成させた。
「今回のテーマは『受験生応援』。パートさんの中に絵が上手な方がいて、掲示物はほとんど手づくりしてもらいました。遠くから見ても伝わるインパクトと、近づくことで情報が得られる2段階の効果を工夫しました」と倉嶋主任は教えてくれた。
実際の販売面でもその効果は顕著に表れた。前年の同カテゴリーとの比較で、売上高は85%増と大幅に伸長した。1ヶ月という期間で十分に用意した在庫が完売するなど、演出と販売が両立する成功事例となった。
楽観視できない競争環境
長野県A・コープは、長野県に本部を構え、県内で2 9 店舗の食品スーパー(SM)を展開する流通企業。JAグループの一員として、生産者との連携を密にし、鮮度と品質に優れた農産物をはじめとする豊富な品揃えを強みとしている。
その中、中信エリアに属する「A・コープファーマーズおおまち店」は、2020年6月に開業した。店名の一部にある「ファーマーズ」は、大型の生産者直売コーナーを備えた新フォーマット店舗だけに与えられるブランド。新鮮な野菜、肉、魚はじめ豊富な品揃えにより強い支持を獲得している。
ただ周辺には有力な店舗が多く、決して楽観視できない。有力SMが点在するほか、ディスカウントストア、さらに近く、生鮮食品を積極的に扱うドラッグストアがオープンする計画がある。
厳しい環境にあり、おおまち店では、購買頻度の高い商品は地域水準で提供する一方、味、鮮度、品質にこだわった商品を販売することで、集客を図る考えだ。
こうした状況の中、ディスプレイコンテストに参加する意義について、倉嶋主任は次のように明かす。「普段、取り組めない売場に挑戦できるほか、お客様の反響もダイレクトに伝わってくるなどがメリットだと思う」。
今後も、倉嶋主任はディスプレイコンテストにエントリーする意向を持つ。「売場づくりを通して、お客様に楽しさや新しい発見を届けられるよう、今後も創意工夫を重ねていきます。次回はもっと多くのスタッフを巻き込み、さらにスケールアップした展開をめざす考えです」と展望を語る。