コンビニサイズの小さな店舗が持つどこよりも熱いディスプレイへの想い!
来店客の意表を突いたステンレスの色彩
この春開催された「2025 オタフクフェア ディスプレイコンテスト」で、見事アイデアコースのグランプリを獲得したのは、㈱ホクノーちびホク厚別5条店だ。同店は数多くの、さまざまなコンテストで栄冠を獲得してきた全国屈指のグランプリ常連店舗。店長の泉伸一氏は「信じられなかったですね」と喜びを語る一方、「肩肘張らずにいつも通り、淡々と取り組みました」と、ディスプレイ作りへの熟練ぶりがうかがえるコメントも。
まず、銀色で統一されたディスプレイが目にとまる。あまりスーパーの陳列では見ることのないこの色彩だが、これはお好み焼に使うヘラのステンレスの色をイメージしたという。「去年のコンテストでは、赤やオレンジというような、鉄板焼のお店にいるようなイメージで売場を作りました。ですが、振り返ってみると商品パッケージの色合いを引き出せておらず、今回はシンプルかつお客さまの意表も突ける銀色をあえて使ってみました」(泉氏)
オタフクソースを使う定番料理であるお好み焼は、北海道では比較的なじみの薄いメニューだという。売り手としては“アウェー”な戦いを強いられそうだが、実際はどうだったのだろうか。
「ディスプレイの展開時期である4月後半は、キャベツの高騰も重なり、正直難しいところがありました。しかし、キャベツの値段が落ち着き始めてからは、去年を上回るペースで売上が伸長していきました。お客さまのお好み焼やオタフクソースに対する認知の広がりには、手応えを感じています」(泉氏)
来店客の目を惹くディスプレイで、札幌の地にお好み焼とオタフクソースの魅力を伝えることに成功したちびホク厚別5条店。同店が誇るディスプレイの訴求力の強さを物語るようだ。
がむしゃらに取り組み続けた唯一無二の大切な「財産」
日頃からディスプレイ作りに積極的に取り組んできた同店。年間に70回、月に7、8回売場を作るというその熱の入れようは、他店舗では類を見ない。
そんな同店の売場面積は約80坪。いわばコンビニサイズの小規模店舗というから驚きだ。一方で同店の所在する札幌市厚別区は札幌中心街へのベッドタウンとして発展著しい地域。年々競合店が増えていく中、ディスプレイで魅せることによって勝ち残ってきた。
「売場をとにかく見に来てほしい、という気持ちでがむしゃらにディスプレイに取り組んできました。そうやっているうちに、地域のお客さまをはじめ、全国各地のメーカーさんにも注目してもらえるような店舗になりました。その中で、われわれスタッフ同士の絆も深まり、そのことがまたお客さまにも伝わり、この店のファンになっていただける。そのような唯一無二の店になったと思います」(泉氏)
売場の活性化を目的に取り組み始めたディスプレイ。今ではそれが自分たちの店舗の「生き様」と思えるまでになったと語る泉氏。ディスプレイに命を賭けた、どこよりも熱い店舗がここにある。