商品の魅力を訴求しグランプリを獲得あえてPOPを使わない陳列で勝負
商品パッケージを生かした立体的な陳列でグランプリを獲得
2025年4月15日から6月16日までを期間として開催された「クレハ 2025年ディスプレイコンテスト」の大陳コースで見事、グランプリを獲得したのはフジの「マルナカ中島店」。売場づくりを担当した野﨑崇店長は「まさかいただけるとは思っておらず、大変うれしい気持ち」と喜びを表現する。
入口すぐの風除室にあるイベントスペースでディスプレイをつくった。来店客が必ず通行する目立つ場所で、クレハの商品を強くアピールした。
「NEWクレラップ レギュラー」「NEWクレラップ ミニ」「NEWクレラップ ミニミニ」に加え、抗菌成分を配合した水切りゴミ袋「ダストマン」といったクレハの主力商品を、ボリューム感を出しながら積み上げた。高さ2m、横幅2.4mと圧倒的な存在感のある売場で来店客の関心を集めた。
売場づくりのポイントについて野﨑店長は次のように説明する。「あえて手書きPOP等を使わず、パッケージと陳列力だけで勝負した。カラフルで視認性の高いラップ商品を中央に据え、高さを出し、遠くからでも目を引く構成を意識した。価格表示は最小限に抑え、商品そのものの魅力を際立たせたかった」
クレハのラウンダースタッフらの協力も得ながら、ディスプレイを完成させた。来店客につくる過程も見てもらおうと、営業時間中に作業を行った。積み上げている様子を見て、多くの人が売場を興味深く眺めていたという。
ディスプレイの注目度は高かった。定番売場やゴンドラエンドで展開しているときと比べて、売上高は約4 倍にも上り、野﨑店長は大きな手応えを得たようだった。
価格訴求型業態が増加

(右から)㈱クレハ包装材事業部西日本営業部大阪営業所 中村 祐基氏、㈱フジ マルナカ中島店 店長 野﨑 崇氏、㈱フジ マルナカ中島店 日用品担当 島野 桃子氏、㈱フジ マルナカ中島店 日用品担当 阿川 園枝氏
「マルナカ中島店」は、水島臨海鉄道水島本線の「西富井」駅から南西200mの場所に立地する。開業は1998年10月。売場面積は5600㎡(うち食品売場は3000㎡)で、フジにとり倉敷市における基幹店のひとつだ。
広い店内を活用、幅広い品揃えをしているのが特徴。とくに農産、水産、畜産に加え、総菜が充実、地域の消費者からは「生鮮のマルナカ」と認知されている。非食品を含む、全売上高に占める生鮮食品(農産、水産、畜産、総菜)の割合は約36%。
生鮮食品については、地場商品を積極的に品揃えしている。とくに根強いファンがついているのは水産部門。丸魚だけでなく切り身、サク、生ネタを使用した寿司といったように幅広い商品を扱う。毎週火曜日と土曜日に開催する「朝市」には多くのお客が新鮮な魚を目当てに来店する。
ただ商圏では近年、競争が激化している。24年11月、食品の扱いが大きい「コスモス東富井店」が東750mにオープンしたほか、今年5月、東北東2kmに大黒天物産の「ディオ西中新田店」が開店、価格訴求型業態が台頭しつつある。これに対しマルナカ中島店では、購買頻度の高い商品を価格訴求する一方、得意の生鮮食品を強め、差別化を図っている。
その中、ディスプレイコンテストに参加する意義について、野﨑店長は次のように説明する。「驚きや楽しさなど、低価格以外の価値をアピールできるのが大きな強み」
今後もマルナカ中島店では機会があればコンテストにエントリーする考えだ。「参加するからには二連覇をめざしたい」と野﨑店長は意気込みを見せる。