手作り感あふれる陳列でグランプリ獲得!
売場で「食卓」を提案
2025年5月1日から6月30日に開催された「いちまさ おかげさまで創業60周年ディスプレイコンテスト」のおいしさ発信コースにおいて、グランプリを獲得したのは愛知県春日井市の㈱清水屋 春日井店だ。売場づくりを手掛けた商品部和日配担当チーフバイヤーの岡部基治氏は、「数多の参加企業の中から選ばれたことを大変光栄に思う」と、その喜びを表現する。
春日井店の入口すぐ、一等地ともいえる催事スペースで、一正蒲鉾の商品を主役とする力強い売場をつくった。最大の特徴は、単に商品そのものをアピールするのではなく「メニュー提案」に力を入れたことだ。「オホーツク」「サラダスティック」「うなる美味しさ うな次郎」を一正蒲鉾の主力ラインアップに加え、他メーカーの冷やし中華麺や刻みハム、紅生姜などの関連商品を冷蔵平台什器で展開。食卓を連想させる魅力的な提案を行った。
「冷やし中華に具材としてトッピングできる商品の充実を図り、『選べる売場』になるよう意識した」と、岡部氏は狙いを明確に語る。また、視覚に訴えかける手づくりのPOPも重要な要素であった。「初夏にオススメ!」「火いらずクッキング」とのメッセージは、温かみのある文字とイラストで表現したこともあり、多忙な主婦層の共感を呼んだ。遠目からも目立ち、来店客に大きなインパクトを与えた。
個性的なディスプレイの効果は顕著であった。期間中、対象商品は通常の定番売場で販売している時と比べて約2倍の売上を記録した。売場の訴求力の高さが証明された。
付加価値で差別化を図る
春日井店は同社創業の地にあり、現在も本店の位置づけを担う旗艦店である。食品のみならず衣料品、家庭用品まで扱う総合小売店として、長年にわたり地域住民の信頼を集めてきた。
しかし近年は、ディスカウントストアやドラッグストアといった価格訴求型業態の台頭による競争激化に直面している。これに対し、清水屋が目指すのは、単なる「価格競争」ではない顧客の期待を超える付加価値の提供だ。
「ただ安い商品を打ち出すのではなく、良質でこだわりのある商品を提供したい」と岡部氏が語るように、クラフトビールやこんにゃく、うどんなど地元産商品を積極的に導入、品揃えによる差別化を図っている。
この戦略において、ディスプレイコンテストは重要な役割を果たす。「楽しさ、豊かさなど低価格以外の価値を訴求できることが大きなメリット」と、岡部氏はその意義を強調する。
「今後も、季節に合わせた食のメニュー提案を継続していく」と、岡部氏は展望を語る。地域の顧客に「食の楽しさ」と「新たな発見」を提供し続ける㈱清水屋春日井店の挑戦は、これからもその歩みを止めることはない。